三途の川を渡る男 ~オペラ”L'Orfeo"~
イタリアに来て間もない頃、トリノの音大に通う日本人学生と知り合った。
私イタリアのこの本場でオペラを見るのが夢なんだよね~と話したら、早速みんなで観に行けることになった。
トリノには、王宮のすぐ近くに「Teatro Regio」がある。
とりあえずみんなの都合が合う日の演目でいいよねってことでチケットを購入したのは
モンテヴェルディ作曲のバロックオペラ、「L'Orfeo(オルフェオ)」。
あまり詳しくはないもののもともとオペラには興味があって、日本に居るときも何度か観に行っていたけれど、「オルフェオ」はあんまり聞いたことのない演目だった。
初めて本場イタリアで見るオペラ、どんな雰囲気かもわからないし、そもそも何着てったらいいの?!きっと何でもいいんだろうと思ったけど、せっかくだからおニューの赤いワンピースを着て挑んだ。
Teatro Regioの入り口は、公演が無い日もいつもオペラ曲が流れている。
この日は土曜、15:00からの公演。会場に入りクロークにコートを預け、6人貸切でゆっくり見られるように確保した2階のボックス席へ向かった。
Teatro Regioはミラノのスカラ座と比べたらモダンなほうだと聞いていたけど、日本のすっきりとしたホールしか知らない私からすれば、充分歴史ある立派なホールに見えた。
全体的に深みのある赤、天井のつららのようなシャンデリアが会場を照らしている。
バロックオペラなら古楽器オーケストラだったらいいな~と期待していたら、
期待通り古楽器オーケストラでの公演。
派手派手しい豪華な大音量オーケストラよりも少し迫力がなくても古楽器のオケや小編成オケのほうが好み。
<「オルフェオ」の簡単なあらすじ。>
オルフェオの妻エウリディーチェは、幸せいっぱいの結婚式の直後、
毒蛇に噛まれて死んでしまう。
オルフェオは妻を現世に戻してもらうため、あの世へ向かう。
途中、三途の川の渡し守に止められるが、オルフェオは自身の美しい歌声で彼を眠らせ、生きたまま渡ることに成功。
やっと妻を返してもらうが、「現世に到着するまで、後ろのエウリディーチェを決して振り返ってはいけない」という条件を言い渡される。
しかしオルフェオは振り返ってしまったため、再びエウリディーチェはあの世へ
戻されてしまう。
悲しむオルフェオのもとに太陽神アポロ(オルフェオの父)が現れ、オルフェオも天へ送られて‥終了。
(この日会場はほぼ満員、イタリア人はみんな評価が厳しいらしく、歌い手への拍手の音量にしっかり差がある。。)
日本では、カルメンとかフィガロの結婚とか、有名どころで聞き応えのある華やかな演目が多く、バロックオペラはなかなか見ることができないと思うので、貴重‥!見れてよかった‥!(癒されてちょっぴり眠くなるくらい!休憩中にワインも飲めたし!)
日本でバロックオペラをあまり見かけないのは、派手めの演目のほうがお客さんが入りやすいとか、バロックオペラに合わせる古楽器オケが揃いにくいとか、そういう感じの理由なんだろうか‥??
チケット代は、日本でまともな席を選ぼうとすると1万円超えるくらいになってしまうけど、この日ボックス席をみんなで割り勘したら、一人50€程度で済んだ。
イタリアに居る間にもう一度、今度はもう少し派手めの演目も見てみたい。
(今年2018年は10月からシーズン開始とのこと)
「Teatro Regio Torino」